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トッキー
2022.9.7 15:16メディア

河瀨直美の祝辞はどう見ても「どっちもどっち論」「相対主義」(しかも日本絶対悪主義)だ!

承前
映画監督・河瀨直美氏が東大入学式で述べた祝辞で、問題とされたのはこの部分です。

〈例えば「ロシア」という国を悪者にすることは簡単である。けれどもその国の正義がウクライナの正義とぶつかり合っているのだとしたら、それを止めるにはどうすればいいのか。なぜこのようなことが起こってしまっているのか。一方的な側からの意見に左右されてものの本質を見誤ってはいないだろうか?誤解を恐れずに言うと「悪」を存在させることで、私は安心していないだろうか?〉
全文はコチラで読めます

河瀨氏はこの前段として華厳宗や金峯山寺の話をしていますが、要するに「多様なものの見方をしよう」「排他的な捉え方はやめよう」ということを仏教的に回りくどく語って、それを上の発言につなげているのです。

しかしどう仏教的に修飾したところで、ここで言っていることは、こうです。

※ロシアにはロシアの正義、ウクライナにはウクライナの正義があり、二つの正義がぶつかり合っている
※一方の「正義」だけを見ていては、争いを止められない
※だから、ロシアを「悪」としてはいけない

他に、解釈のしようがありますか?
「どっちもどっち論」であり、「価値相対主義」です。
それ以外の何物でもありません。

しかし、我々が「ロシアの正義」を認めたら、戦争は止められるのでしょうか?
そんなことはありえないと思いますが?
どうしてロシアの正義を認めれば争いを止められることになるのか、
それを河瀨氏は全く言いません。
それでいて河瀨氏は、その後にはこう述べるのです。

〈そうして自分たちの国がどこかの国を侵攻する可能性があるということを自覚しておく必要があるのです。そうすることで、自らの中に自制心を持って、それを拒否することを選択したいと想います。〉

おかしくないですか?
ロシアの話に続けて河瀨氏は「自分たちの国」、すなわち日本が「どこかの国を侵攻する可能性」について言及するのです。
つまり、「現在のロシアは未来の日本」かもしれないと言うのです。
そんなことありえないと言いたいところですが、そこは措くとしても、「ロシアにはロシアの正義」があると言った以上は、もしも日本がどこかの国を侵攻したとするならば、その時にはそこに「日本の正義」があるということになるはずです。

ところが河瀨氏は、日本に対しては「正義」を認めず、その時は日本人が自ら自分を「悪」だと思って、「自制心を持って、それ(侵攻)を拒否する」べきだと言うのです!

支離滅裂です。
河瀨氏は、「現在のロシアは未来の日本かもしれない」と想定しておきながら、ロシアにはロシアの正義を認めるべきだけど、日本には日本の正義を認めちゃいけないと言っているのです。
「価値相対主義」と「日本絶対悪主義」の混合です。
つまり戦後価値観そのまんまというわけですが。

こんな幼稚で矛盾したこと言ってれば、批判されて当然でしょう。
ところが「表現者クライテリオン」7月号の巻頭言「鳥兜」は河瀨氏をかばい、「反露ヒステリーに陥った評論家などが、これに『どっちもどっち論』『相対主義』のレッテルを貼り、いわゆる『炎上』に仕立て上げたのである」と非難したのです。

「ヒステリー」でも「レッテル貼り」でもありません!
どっからどう見ても「どっちもどっち論」「相対主義」なんだから!!

では次回は、河瀨氏を国際政治学者がどう批判し、その国際政治学者をクライテリオンがどう非難したのかを検証します。

 

【ロシベタクライテリオン論破祭り】
第1回 ウソついて逃げるクライテリオン藤井聡!
第2回 ロシアのプロパガンダを「多面的な解釈」と強弁する藤井聡!
第3回 道路交通法と国際法の区別がつかない藤井聡!
第4回 藤井聡の言う「多面的解釈の外交」とは何か?
第5回 NATOの東方拡大はアメリカの「裏切り」か!?
第6回 確かにアメリカは悪い! けど…?
第7回 ロシア経済崩壊の「主犯」は誰か?
番外編 藤井氏動画コメントに見る、クライテリオン読者・支持者の「程度」
第8回 藤井聡が依拠する、伊藤貫の「国際情勢認識」の正体
第10回 藤井聡氏に小学校の国語のテスト。
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第12回 ブチャ虐殺を「フェイク」だと思っていた藤井聡
第13回 「魔女狩り」という言論封じワード
第14回 もう一度、道交法と国際法の違いについて。
第15回 藤井聡氏の国際法軽視は西部邁氏の悪影響か?
第16回 明日よりクライテリオン論破祭り、最終章!

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